東京マザーズクリニックの食事は美味しいと有名で、私も期待していました。
ただ正直に言うと、最初に運ばれてきたとき「思っていたより普通だな」と思いました。ホテルのような豪華さや、見た目の派手さを想像していたから。
でも、口に入れた瞬間に気づきました。
これは「見た目で魅せる食事」ではなく、「食べて体が喜ぶ食事」だと。
4年経った今でも、また食べたいと思う。産後ケア施設で出された食事の方が見た目は豪華だったけれど、もう一度食べたいと思うのは東京マザーズクリニックの食事の方です。それがすべてを物語っていると思います。
毎朝届く、一枚のメニューカード

TMCの食事で最初に驚いたのは、毎朝メニューカードが届くことでした。
その日の朝・昼・夜の献立が、花の絵とともに丁寧に印刷されている。そしてそれぞれのカロリーが明記されています。
- 朝食:約500〜636kcal
- 昼食:約700〜730kcal
- 夕食:約700〜723kcal
これにプラスで手作りのおやつ、そして夕食後にはお夜食まで届きます。
産後の体に必要な栄養を、しっかり計算した上で提供している。
東京マザーズクリニックの食事はホテルのような豪華さとは違う、「体を回復させるための食事」という設計思想が伝わってきました。
お米は熊本県産の減農薬米を使用しているとカードに記載されていて、素材へのこだわりも感じました。
忘れられない一皿——鯖のそぼろ三色丼

東京マザーズクリニックの食事は全食美味しかった。
けれど一番印象に残っているのが、昼食で出た鯖のそぼろ三色丼です。
炒り卵の黄色と、鯖そぼろの茶色が鮮やかに盛りつけられた丼。
揚げ浸し、胡麻ポテトサラダ、お吸い物、和え物、果物が添えられて、品数の多さにまず驚く。
「産院の食事」という先入観を完全に覆される、滋味深くて丁寧な味でした。
産後のボロボロな体に、じんわりと沁みた。
東京マザーズクリニックで出産当日の朝食はおかゆでした。
車麩の卵とじ、焼き鮭、ひじきの煮物、青菜とじゃこのお浸し、ヨーグルト——産後の体に寄り添う優しい構成で、これもまた別の意味で忘れられない食事になりました。
食器とカトラリーが、普通じゃない
東京マザーズクリニックの食事の内容だけでなく、器にも驚きました。
ロイヤルコペンハーゲン、イッタラ、Arabia Paratiisi——北欧の名窯のうつわが、産院の食事に使われているんです。クチポールのカトラリーで食事をしながら、「ここは本当に産院なのか」と何度も思いました。オシャレなカフェのよう。
ドリンクは自由に飲んでいいものが用意され、AHMAD TEAのデカフェティーバッグ(ストロベリー、レモンライムなど)とほうじ茶が用意されていました。授乳中でもカフェインを気にせず飲めるセレクションで、こういう細かい気遣いがTMCらしいと思いました。
産後の体でも、「ちゃんと自分として扱われている」という感覚がありました。
うつわの力というのは、こういうところで効くのだと実感した入院生活でした。
嬉しい手作りのおやつと、お夜食
東京マザーズクリニックでは食事以外にも、毎日手作りのおやつが届きました。
さつまいものスティック、フィナンシェ、ハロウィン仕様のお菓子——どれも「手作りの為、保存料が含まれておりません。お早めにお召し上がりください。」というカード付きで、木のトレーに乗って届きます。
夕食後にはお夜食として小さな焼き菓子も届きました。
産後の長い夜に、こういう小さな楽しみがあることがどれほど心を支えてくれたか。
食事が足りなかったら困るなと思い、市販のおやつを持参していたのですが、全く出番はありませんでした。
ハロウィンのおやつ——出産翌日に届いたサプライズ

娘が生まれたのは10月30日。
翌日の10月31日はハロウィンでした。
その日のおやつとして届いたのが、かぼちゃのモンブラン風ケーキと、チョコレートで顔を描いたいちご。カードには「今日も良い1日でありますように♪」という一言が添えられていました。お夜食の時間にはハロウィン柄の袋に入った手作りのお菓子も。
産後のボロボロな状態で、思いがけない可愛さに癒されました。フレンチプレスのコーヒーと花柄のティーカップと一緒に、丁寧にセッティングされていて。
娘が生まれた翌日の、忘れられないおやつの時間になりました。
お祝い膳——正直に言うと、シンプルでした

一点だけ気になった点を正直に書いておきます。
出産後に提供されるお祝い膳は、通常の食事にプラスして小さなお赤飯とお雑煮が添えられるものでした。
他の産院のお祝い膳と比べると、かなりシンプルです。
豪華なコース料理や、鯛の尾頭付きを出す産院もある中で、「これがお祝い膳か」と少し拍子抜けしたのが正直なところ。
ただ振り返ると、TMCは「お祝い膳」よりも「日常の食事」に全振りしている産院なのだと思います。毎食これだけのクオリティを維持するために、特別感はそこに集約しているのかもしれない。それでも、お祝い膳への期待が高い方は、あらかじめ知っておいた方がいいと思って書き残しておきます。
退院時にもらえる、東京マザーズクリニックのレシピ本

退院の際に「東京マザーズクリニックの産愛ごはん」という本をいただきました。料理研究家・鈴木薫さんとTMCが共同制作したレシピ本で、帯には「いつも頑張っているあなたへ 人気産院が贈る 心と体を癒しむごはん」とあります。
入院中に食べた料理のレシピが自宅でも再現できる一冊です。産後の疲れた体に寄り添う食事を、退院後も続けられるようにという配慮が感じられます。部屋には生花も飾られていて(こちらもプレゼントで持ち帰れます)、こういう細部の積み重ねがTMCの入院生活を特別なものにしていました。
食事が、入院を「豊かな時間」にした
産後の入院というのは、ともすれば辛くて孤独な時間になりがちです。
特にコロナ禍で面会も制限されていた2021年は、なおさら。
でも、食事の時間だけは違いました。
うつわを眺めながら、今日は何が来るんだろうと楽しみにしながら、体に染み渡る丁寧な料理を食べる時間。手作りのおやつが届くたびに、ちょっと嬉しくなる時間。それが入院中の私を、確かに支えてくれていました。
退院してから、娘に「あなたが生まれた翌日、ハロウィンのケーキを食べたんだよ」と話す日が来るのが楽しみです。


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